迷子の猫 その後

迷子の猫 の続き。

夕方に捕獲に成功したので、そのまま動物病院に連れて行く。

病院に行って口の中を見てもらうと、なんと歯がほとんど無い。前回の記事に載せた写真では下顎の右の牙が抜けているのが確認できるんだけどそれどころじゃなく、むしろ牙は一本しか残っていない状態。ウィルスが原因の歯槽膿漏では?とのこと。さらに、触診してもらったところ「水が溜まっている感じがあり、癌かもしれない」と。顔だけ見たら結構元気そうなのに…。ちなみに性別はメスだった。

より詳しく調べるため超音波検査をしてもらったところ、以下のことが判明。

  • 避妊手術をしていない。
  • 水が溜まっていると思ったが膿だった。子宮蓄膿症(子宮に膿が溜まる病気)、しかもかなり膿が満杯気味の状態。子宮に膿がたまること自体はあるがこれほどの量は猫では見たことがないレベルとのこと(犬ではあることらしい)。
  • 腎臓もかなり機能が衰えている。これからすると年齢は15歳程度かもしれない。

子宮を摘出する手術が必要だけど筋力や体力がかなり衰えているので手術に耐えられないかもしれないこと、そもそも腎臓が弱っており麻酔のリスクが高いこと、さらに仮に手術がうまく行っても腎臓その他が弱っており筋力や回復力なども弱まっているためどのみち寿命は長くないであろうことから、治療せずに今日はおいしいものを食べさせてあげて、そのままリリースするのもひとつの方法だということを聞かされた。

多少は病気もしてるだろうけどそこそこの健康体ならうちで引き取って治療して里親を探そう、などと話していた俺らにとってはかなりショックな話。

一応首輪はつけていたもののかなりボロボロになってるし、体もかなり汚れていて匂いもするしノミもいて野良猫歴がそこそこ長そうで、おそらく白血病や猫エイズにもかかっているだろうし、歯槽膿漏で歯が抜けているらしいことからカリシウィルスもあるだろうから、今いるなちょすやたえちゃんに対するリスクを考えると引き取って飼うのも相当厳しい、同じ家で買えば今いる猫がウィルスに感染するのはほぼ確実だと。

いくらなんでもこっちの都合でなちょすとたえちゃんの生命を脅かす訳にはいかない…。奥さんと話し合った結果、残念ながら先生の言うとおりにしてリリースすることにした。おかげで奥さんも俺も落ち込んでしまった。

ちなみにここの先生は超音波検査までやってくれたのに、なんと診察代を一銭も取らなかった。完全なるタダ働き。ここの病院はアニマルシェルターや保健所から引き取ったり野良猫を保護した場合は初診料を取らないという良心的なところなんだけど、まさかビタ一文請求されないとは。すごいすごすぎる。