太陽が容赦なく照りつける中、エンジンの熱とアスファルトの照り返しに耐えながらバイクに乗っている今日このごろ、いかがお過ごしですか。
そんな真夏のバイクライフを助けてくれるアイテムとして「水冷ベスト」というものがあるらしい…。
というわけで早速ひとつ買ってみて、メッシュジャケットと組み合わせながら、実際に6時間のツーリングに挑戦してみたよ。はたしてどの程度効果があるのか?
水冷ベスト紹介
今回購入したものは、サンコーの水冷ベスト。

平たいリュックのようになっている。

胸のあたりのポケットにバッテリーを入れてリモコンで操作する。メッシュの向こうにチューブが這っていて、ここに冷たい水が通ることで背中を冷やしてくれる仕組み。

背中のタンクに水と氷(あるいは保冷剤、あるいは凍らせたペットボトル)を入れる。背中のチューブを通った水がまたタンクに戻ってきて、氷や保冷剤で冷やされて、またチューブを通っていく。ラジエーターのかわりに氷で水を冷やすかんじ。

このベストは500mlのペットボトルが入るので、コンビニで売ってるカチカチに凍ったペットボトルを保冷剤代わりに使うことができる。

循環用の水と凍ったペットボトルを入れて、漏れないようにしっかり蓋を締めて、ファスナーを閉じれば準備OK。

実際に使ってみた
今回は化繊のドライTシャツの上にこの水冷ベストを装着し、その上にプロテクター入りメッシュジャケットを着て、行き3時間、帰り3時間、合計6時間の下道ツーリングを決行したのであった。なぜ下道なのかというと、高速だと気持ちよく風を浴びながら快適に走れて普通に水冷ベストなんかいらなそうだったから…。
まずは実際に使って感じたいいところと、いまいちなところを簡単に紹介すると…
いいところ
- 背中が全面的に冷える。
たったあれだけの密度の低そうなチューブでどうなのかと思ったけど、いざ動かしてみると背中全面がまんべんなく冷たい感覚になった。背中の冷却効果はかなり高いと思う。
いまいちなところ
- かさばる。
ただでさえ背中部分の厚みが気になるのに、さらにここに凍ったペットボトルを入れるんだから背中は結構ふくらむ。その上からメッシュジャケットを着るので、着れないことはないけど正直窮屈。かといってこれのためだけに1サイズ上のメッシュジャケットを買うのもなあ…。 - 背中の感触が気になる。
凍ったペットボトルを入れた状態だと背中にモロにかたまり感を覚えて不快。 - 重たい。
そもそも今回買ったベスト本体の重量が750gあって、そこに循環用の水300g、凍ったペットボトル500gないし600g、モバイルバッテリー200g等、もろもろ含めて1.7~1.8kg以上になる。コミネの水冷ジャケットならタンク部分が腰に来るので少しはマシかも知れない。 - 背中しか冷えない。
今回買ったものは前面部(胸のあたり)にも一応おまけ程度にチューブはついてるけど、実際に使ってみると少しも冷たく感じず、全く役に立たなかった。背中は広く冷えるけど、そこ以外への影響は全然ない。もしかしたら他の会社のものだと胴体全体を冷やすようなものもあるのかもしれない。 - よくて2時間程度しか持たない。
この機種は一応モードが「強」「弱」「エコ(強10秒→OFF40秒の繰り返し)」が選べるけど、正直弱でもエコでも冷たさは変わらず、そして持続時間も変わらず、1時間半くらい経つと最初ほどの冷たさがなくなっているのがわかる。そうなると中のペットボトルは溶けていて、ボトルの交換が必要になる。ただし極端にぬるくなっているわけではなく、適度に冷えている状態(外に出すとボトルが結露で白く曇る程度)なのでちょうど飲みごろになっているので、溶けたボトルを飲んで、代わりに凍ったボトルを調達して背中にセットし直す感じになる。 - チューブが結露して服が濡れる。
チューブの中を冷たい水が通るので、チューブ自体が結露して、結局シャツが濡れる。最初は買って早々チューブに穴でも開いて水が漏れたのかと思った。運転中に結構気になる。 - お手入れがめんどくさすぎる。
大抵Tシャツの上から着たりすると思うので、当然汗なり何なりで汚れるだろうから、いつかは洗う必要がある。その場合、チューブやタンクやポンプやケーブルを取り外した状態で手洗いをして、陰干しで乾かしたあと、一度外したあれやこれやを再度装着し直さないといけない。
…やだ!!
感想
これさ、背中全面は冷えるけど、そこ以外は冷えないんだよ。あくまで個人的な話だけど、背中だけ冷たくなってもぜんぜん涼しい感じがしない…。もう少し前面やサイドが冷たければもしかしたら感じ方も違ったかもしれないけど、少なくとも俺は背中だけじゃ全然快適に感じなかった。渋滞のときに何も無いよりは助かるかな?って思ったくらい。もちろんどこも冷えないよりはマシなんだろうけどさ…
そのくせ、窮屈さとか、背中のゴワゴワ感、それに重さなんかが俺を苦しめてくる。帰り道、途中で肩が凝って仕方がなかったので、ペットボトルがちょうど溶けていたこともあり一旦外してシートバッグに入れて走ってみたらなんと楽なこと…まるで羽でも生えたみたいに快適になった。悟空が重たい甲羅つけて修行した後みたい。その後コンビニで冷凍水を買って装着し直したことで快適さは失われた。
つまり、背中が冷えることのプラスと重量物を装備することのマイナス、少なくとも俺にとってはもろもろ合わせるとマイナスのほうがデカく、結論としては今後もう使わないかもな…となった。重たいものはシートバッグに入れて、身につけるものは最小限ってのが俺に合ってた、ということがあらためてわかったのはよかった。
冬用の電熱系装備もベストは使ってなくて、手袋と靴下の末端冷え対策用しか持っていないので、今後も中に着込むベスト系の装備は買わないでいいかも知れない。
しかしこれ、決して安いものではなかったので、一度きれいに洗った後で夏のシーズンが終わる前になんとか売り払うなりしたいところ…。