Steamのウィンターセールで「ENDER LILIES」を買った。いわゆるメトロイドヴァニア系のゲームのようでレビューの評価がめちゃくちゃ高かったのだ。
探索系のゲームはまあまあやっている。「本家」で言うとド定番の「月下の夜想曲」はもちろんDSの「奪われた刻印」あたりが結構好きで、最近出たゲームだと「Bloodstained」はかなり面白かった。
で、このゲーム。Steamでは”圧倒的に好評”だったのとグラフィックもきれいでいかにも面白そうだったので、こりゃやるしかないなと思い買ってみたはいいものの、いまいち合わなかったという話。
とはいえ、一応エンディングCまでやった上での評価だよ。(実績もコンプした)
このゲームは油断しているとその辺のザコ相手でも体力満タンから一瞬で殺されるような厳しいバランスになっているので、極力ダメージを受けないようにザコ敵1匹1匹に対して慎重に処理していかないと先に進めない。しかし自キャラの攻撃力が全体的に低く設定されており一度の連続攻撃で敵を倒しきることが難しく「やられる前にやる」ことができないのに加え、動きが比較的ゆったりしていて攻撃・回避・回復などほぼ全てのアクションに硬直時間(つまり隙)が用意されているので、パターンを踏まえた繊細な立ち回りを強制される。
するとザコ処理に意識の多くを割かれるせいで探索をしている実感がなくなる。言い方を変えると、たとえ探索したくても雑魚の相手をするのが嫌になりいろんなエリアを回る気になれない。探索自体が面倒になってくるんだよね。
ここで問題なのが、ザコ敵を倒した時のリターンのなさ。このゲームのザコは経験値以外何もドロップしないので、苦労して倒しても見合ったリターンがなくザコ戦が単純に苦痛になっている。倒してもメリットがないせいで、終盤になって自キャラの機動力が増してくると戦うことを諦めて敵をいかに避けるかのゲームに変わる(が、終盤エリアは狭い通路で敵が密集してくるのでそれもできない。接触ダメージがあるくせにこれはひどい)。
肝心の経験値をためてもキャラがあまり強化されず、道中が全然楽にならない。例えば以下はLV44と45の比較なんだけど、HP上限、祈り(HP回復)の回数や回復力は固定配置アイテムの取得でしか上がらないため、レベルアップしても攻撃力が「1」上がるだけであまり強くなった実感がなく、いくらレベルを上げてもザコ処理が一向に楽にならない。
最大レベルが100なんだけど、そこまで上げてスキルレベルもMAXにして攻撃力UPのレリックを複数装備してもなお敵が固い。またこのゲームにはショップがないのでザコで稼いで強い装備に持ちかえる…みたいなこともできない。要するにあまり強くない状態で成長が頭打ちになってしまう。
とにかく雑魚をサクサク倒して先に進むみたいなことが難しく、クリア後の印象としては「戦闘90:探索10」という感じ。どのシーンでも気を使って戦ってばっかりだった気がする。ボス戦の歯ごたえがあるのはともかく、探索系なのにザコ戦が苦痛なのはいまいち噛み合っていない気がした。
ボリューム自体は価格を考えれば十分満足。全体マップもしっかり広いと思うし、逆さ城やBloodstainedのインバートみたいなギミックこそないけど手に入るアクションを総動員しないとたどり着けない隠し部屋みたいのも(数は少ないものの)あって工夫は感じた。
ちなみに、自キャラの各種行動のスキがでかいのに加え攻撃の出掛かりを回避でキャンセルできない(フォロースルーは若干キャンセルできる)ので、基本的にはボタン連打の連続技は隙がでかすぎて使えず1発当てて回避、あるいは2発当てて回避…みたいな爽快感のまったくないチマチマした地味な操作か、もしくは遠距離からホーミング弾を打つだけの作業を強いられる。動かしていて単純に面白くなく、月下やBloodstainedのようなキビキビとした軽快な動作で華麗に敵を倒していくゲームではなかったので、そこも合わなかった気がする。
操作性自体はいいし、曲もグラフィックも力が入っていて、各種UIも親切でわかりやすく、大枠としては丁寧に作られてると思う。でも動作が重いのと、あと「高難度」のバランスのとり方が単純に「自キャラを弱くして敵を多く強く硬くする」だけでやってるので気持ちよさがなかったという感じかな。雰囲気ゲーの側面も強いのでそういうのが好きな人だともっと楽しめたのかも。
無理に探索要素を盛り込まずに、2D版ソウルライクみたいな方向性を伸ばして面クリア型アクション(あるいはローグライクとか?)でも良かったと思う。まあ、それだったらきっと買ってなかったけど…。